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7月4日 土江伸誉先生講演会 「行動科学的手法による新しい鬱動物モデル-マウスの水迷路学習場面における行動的絶望-」

2008.6.17

大学院心理学領域のイニシアティブプログラムの一環として、標題の講演会を下記のように開催します。どなたでも参加できます。学部学生の方もぜひ参加してください。無料、事前申し込みは不要です。

 日 時:7月4日(金) 13:30~15:00
 場 所:関西学院大学西宮上ケ原キャンパス図書館ホール
 演 者:土江伸誉(株式会社ソムノクエスト開発副部長、本学心理学研究室OB、元心理学研究室助手)
 演 題:行動科学的手法による新しい鬱動物モデル―マウスの水迷路学習場面における行動的絶望―

 内 容:現在、鬱病の病因究明を目指す基礎研究や前臨床的な新規抗鬱薬候補の薬効評価の現場では、Porsoltの強制水泳試験のような動物モデルが用いられている。しかしながら、それらの鬱動物モデルはヒトの鬱病のごく限られた側面を動物で再現したものに過ぎず、基礎研究のツールとしても決して十分なものではない。
 演者らは、マウスを被験体とする水迷路学習実験の場面において、課題の難度をある一定水準以上に設定すると、一部の被験体が適応的対処行動の学習を徐々に放棄し、強い不動反応(行動的絶望)を呈するに至ることを明らかにした。行動的絶望を示す被験体では血中コルチコステロン濃度の上昇や脳内セロトニンの減少などが生じていた。また、イミプラミン、フルボキサミン、ミルナシプランなどの抗鬱薬により行動的絶望は改善したが、抗不安薬であるジアゼパムや覚醒作用を持つカフェインは効果が見られなかったことから、行動的絶望が鬱状態であることが確認できた。
 この動物モデルは、鬱病の発症に関わる遺伝子群の探索や、新規抗鬱薬の薬効評価に役立つと思われる。 なお、本研究の成果は「欝モデルマウス作製方法」として特許出願中である。

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