9月27日 Dr. Cheng 学術講演会 「因果推論における因果的アプローチと連合的アプローチ」
2008.9.10
学術フロンティア推進事業、及び関西学院大学大学院イニシアティブプログラムの一環として、学術講演会を開催します。参加費は無料、事前申し込みは不要です。
日 時: 2008年9月27日(土) 12:30~14:30
場 所: 図書館ホール
タイトル:Causal versus Associative Approaches to Causal Inference
「因果推論における因果的アプローチと連合的アプローチ」
講 師: Patricia W. Cheng, Ph.D.(University of California, Los Angeles 教授)
司会・抄訳:嶋崎 恒雄(関西学院大学文学部総合心理科学科 教授)
講演者紹介:
Patricia W. Cheng氏は現在米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授であり、推論研究の第一人者です。1985年にKeith Holyoak氏ととも
に発表された「実用的推論スキーマ」理論は推論研究のなかでも主要な理論のひとつであり、わが国の多くの教科書にも登場しています。
近年は因果帰納推論についての研究を活発に進められ、causal powerと呼ばれる概念や、因果帰納推論に関するPowerPC理論などの研究を、
Psychological Review誌を始めとする多くの学術雑誌に発表されています。
この講演会では因果帰納推論における新しいアプローチについて、連合理論との対比をもとにお話いただく予定です。
アブストラクト:
学習についての連合的理論と因果的理論の相違は、観察不可能な事象に関して推論者が暗黙の一般的な仮説を持っているか否かという点にあ
る。この講演では因果的アプローチの主要な論点、すなわち無数の因果的な問いに対して、一貫した整合的な答えを生成できること、につい
て説明を行う。
推論者の持っている因果的仮説の集合は次の4つの点についての説明を可能にする。
(1) 因果の学習と診断的因果推論
(2)介入操作と単なる観察の相違
(3) 因果的知識を文脈に沿って一般化できること
(4) 因果の強さと因果の構造についての判断
実証的なデータによって、因果的アプローチが、ベイズ流の構造学習モデルを含む連合的な諸理論のみならず因果的ベイズネットに比べても
優れたアプローチであることを示す。