HOME > 研究情報 > 2007年8月20日~9月11日 共同研究報告「夜間長時間トラック運転中におけるドライバーの生理・心理状態の検討」

2007年8月20日~9月11日 共同研究報告「夜間長時間トラック運転中におけるドライバーの生理・心理状態の検討」

2016.8.29

 夏休みの長期休暇中、北海道にある苫小牧寒地試験道路にて、電子航法研究所、鉄道総合技術研究所、いすゞ自動車との共同研究実験を行ってきました。
 近年、トラックドライバーの夜間長時間走行中の事故が絶えません。石油の高騰等の理由のため、睡眠時間が2~3時間といったようにドライバーにとって大変過酷な運行スケジュールを組まざるを得ない物流・運送業界の現状があります。このような背景を受け、また私は「ヒューマンエラー発生の予測と制御」を主な研究テーマとしていることから、今回、ドライバーが事故を起こし得る状況を実験的に作り、運転中における彼らの生理・心理状態を計測し、検討しました。
 実験は午後7時から試験道路にて開始し、途中に休憩を設けながら、合計9時間にわたって2tトラックの運転を行っていただきました。運転中にはドライバーの発話音声や耳朶容積脈波、心拍数といった生理反応、そして車輌スピードや車両位置などの車両情報、さらには運転中の映像を記録しました。助手席に実験者が同乗し、危険な場合は補助ブレーキによる危険回避に備える等、ドライバーの安全確保に努めました。
 私は生理反応に含まれるカオス性(非線形性)を評価することにより、ヒトの生理・心理状態を評価可能であると考えています。現在、実験データの解析中ですが、ドライバーの運転中の各種生理反応のカオス性とそれ以外の指標との関係を検討し、有益な情報を見出せると思っています。
 今回のような現実・応用場面を想定した学際的研究では、心理学者や工学研究者等、各専門分野の研究者が単独で行うことは難しいため、それぞれが得意分野を担当し、補完し合います。またお互いの情報交換が行え、円滑に研究が進められました。他分野の研究者と同じ場に立ち、それぞれの知識や技術を持ち合い、一つの目標を達成する仕事には大変やり甲斐を感じるものとなりました。(文責: 今西、2007年11月)

PAGETOP