ハミル館
心理学研究の歴史を刻む「ハミル館」
十字型平面の四隅に八角形の塔状部を有するユニークな形の洋館が、関西学院大学上ケ原キャンパスの北端に建っています。寄付者H.M.ハミルの名を冠したこの建物は、関西学院発祥の地である神戸原田の森(現在の神戸市灘区王子公園)から上ケ原キャンパスに移築された唯一の建物であり、著名な建築家W.M.ヴォーリズの初期の主要作品です。
関西学院の心理学研究室は、原田の森にキャンパスがあった1923年に、このハミル館2階の3室に設置されました。わが国の私学で最初の心理学実験室の誕生です。その後、上ケ原キャンパスに移築されたハミル館は関西学院教会附属幼稚園などとして使用されましたが、1956年には全館が心理学研究室として使われることになりました。1階中央のホールは学部学生の実習の場となり、小部屋は4年生の卒業論文研究や大学院生の実験に活用されました。2階には教授室と大学院生の共同研究室、図書室などが設けられました。
心理学研究室は1998年に新築されたF号館に移りましたが、その後の総合心理科学科の発展に伴い、2003年4月からは大改修を終えたハミル館でも心理学研究が再開されることになりました。
80年以上におよぶ心理学研究の歴史を刻むハミル館は、関西学院大学で心理学を学ぶ学生に伝統と文化を伝え、新たな時代を生み出すインキュベーターとして重要な役割を担っています。
●写真は1926年(大正15年)の心理学研究室のようす。
右端に立つ人物が心理学研究室の創設者である故・今田惠教授(関西学院第6代院長)。場所はハミル館2階。