第1巻「なるほど!心理学研究法」
三浦麻子 著 2017年5月10日発売 北大路書房
《はしがき より》
本書『心理学研究法』は,心理学とはどういう学問か,その歴史も含めて説き起こした上で,どの研究法にも共通する基盤的知識を解説する書籍である。
本書は3部構成である。まず第1部は「心理学を「研究する」ということ」と題して,心理学研究に着手する技能や技術を身につけるにあたって最低限知っておきたい知識を,大きな視点から解説する。第2部は「心を「測定する」ということ」と題して,心理学で用いられる代表的な研究法と,実際に着手する際のハウツーを解説する。第3部は「研究を「公表する」ということ」と題して,研究を世に問いうるものとするために研究者が心がけるべきルールについて解説する。初学者の方々には冒頭から通読することをお勧めするが,既に学習途上の方々が特定の部や章を拾い読みされたとしても,もちろん理解はできるように書かれている。
序章 心理学とは何か
- 心理学を「研究」する世界にようこそ.心理学は「心の科学」です
―第1部 心理学を「研究する」ということ―
- 心理学に着手する技能や技術を身につけるにあたって最低限知っておきたい知識を大きな視点から解説
第1章 心理学のなりたち:心理学史
- 現代心理学の確立にいたる歴史的経緯を解説
第2章 研究の準備:心理学研究の基礎知識
- 心理学研究に着手するにあたって誰もが知るべき重要事項を解説
第3章 研究の準備:先行研究の探し方
- 研究すべき問題を研究できるリサーチ・クエスチョン(RQ)に練り上げて行く際の留意点を解説
―第2部 心を「測定する」ということ―
- 実際に心理学研究に着手する際のハウツーを解説
第4章 研究の基礎:研究法概説
- 心理学研究の4つの代表的手法(実験・調査・観察・面接)を概説
第5章 研究の基礎:人間を対象とする測定における諸問題
- 「人間が人間を対象として行う」測定において常に意識すべき問題を解説
第6章 データの中身を知る:記述統計
- 心理統計の基礎的な考え方と心理学で測定するデータの特徴を解説
第7章 データから対象を見通す:推測統計
- 推測統計(データの背後である対象の全体を見通す方法)を解説
―第3部 研究を「公表する」ということ―
- 研究を世に問いうるものにするために研究者が心がけるべきルールを解説
第8章 研究倫理:研究者として「なすべきこと」
- 特に参加者への配慮とルール遵守のシステムとしての倫理審査について解説
第9章 研究倫理:研究者として「やってはいけないこと」
- 特にデータ収集や分析段階に犯してしまいがちな行為を具体的に紹介
第10章 研究倫理:モラル違反を抑止するシステム
- 心理学研究が正しい手続きで行われるようにするためのシステムを紹介
第11章 研究成果の公表:心理学論文の書き方
- 研究成果をまとめて世に問う「論文」の書き方と注意点について解説
- [付録] 心理科学実験実習 レポート作成 チェックリスト
終章 よりよい心理学研究のために
- 改めて,心理学を研究することの意味や意義について論考